動脈瘤の治療方法(1)開頭手術|昭和大学医学部 脳神経外科学教室 開頭手術での治療

< クリッピング術> (図2)動脈瘤は脳のしわの間に埋まっています。このしわを丁寧に剥離して、クリップをかけて破裂を予防する手術です。クリップで動脈瘤の根元の部分を閉塞すると動脈瘤を完全に血流が通わない状態にできます。クリップはいろいろな形状のものがあります (図3)殆どチタン性のものを使用しており、術後にMRIも可能です。手術は部分剃毛で行うため、手術創はほとんど目立ちません。また脳の部分はすべて手術顕微鏡による微細な操作で行います。

障害を残さず、安全に手術できる可能性は約95%、後遺症が生じる確率は5%、死亡率 0.2 – 1.0%程度が平均的な報告されている数字です。全国主要大学病院の、未破裂脳動脈瘤の手術の平均在院日数は、厚生労働省の調査より26.4日と報告されています。
当脳神経外科では多数の手術経験のある術者が、個々の動脈瘤に対して手術の安全性を90-99%の間で予測して説明しています。この数字に幅があるのは、動脈瘤の大きさ、形状、部位によって手術の難易度が異なりまた、既往歴や年齢によっても手術リスクが異なるからです。後述する血管内治療に比べて、手術の最大の利点は根治性があることです。一旦クリップがかかれば、ほぼ生涯にわたって破裂を予防できます。日本では現在、動脈瘤手術の80-90%が、開頭クリッピング術です。

未破裂 右中大動脈瘤(10mm)

クリッピング術(図2)

動脈瘤

各種クリップ(図3)

各種クリップ(図3)

動脈瘤術中写真

矢印は不整形の動脈瘤(前交通動脈瘤)を示す)

動脈瘤術中写真

クリップをかけた動脈瘤

クリップではさまれて内部に血流がなくなった状態

クリップをかけた動脈瘤
未破裂前交通動脈瘤(8mm)

巨大動脈瘤に対する開頭術

巨大脳動脈瘤とは最大径25mm 以上のものを指します。通常それほどの大きさに至るまでに破裂すると考えられるので、頻度は少なく、脳動脈瘤全体の1-2%の頻度と推測されます。動脈瘤による脳神経の圧迫症状で発見されることが多く(症候性動脈瘤)頚動脈系に発生するものはものが2重に見える(複視)ことや片側の視力低下、視野狭窄などがきっかけで発見されます。巨大脳動脈瘤は部位により年間破裂率6.4 – 10 %と差がありますが (Lancet 2003)破裂率が通常のサイズの動脈瘤の何倍も高く危険な動脈瘤と言えます。治療は、開頭手術が主体になりますが、動脈瘤自体にクリップをかけることが困難な場合が多く、その場合には動脈瘤が発生している動脈自体を手前で止めて、代わりにバイパスを作成するという治療法が行われています。この治療法は一般的に行われているものではなく、可能な施設や術者が限られています。

カリスマ医師50人の神ワザ
脳卒中の記述
迷ったときの医者選び首都圏

76才 女性
複視で発見された約3cmの動脈瘤
(左内頚動脈海綿静脈洞部)

術前 ヘリカルCT:矢印は動脈瘤

術前 ヘリカルCT:矢印は動脈瘤

術前 血管撮影:矢印は動脈瘤

術前 血管撮影:矢印は動脈瘤

術後 血管撮影 動脈瘤は消失、矢印はバイパス

術後 血管撮影 動脈瘤は消失、矢印はバイパス
動脈瘤・バイパスイラスト